トップページへ >> 流通系電子マネー比較
このページでは、流通系の電子マネーに絞って色々な角度から比較してみました。
流通系電子マネーは、現在のところ、セブンイレブンやイトーヨーカドーをグループに持つ(株)セブン&アイ・ホールディングスの「ナナコ(nanaco)」と、
スーパーのイオンやジャスコ、コンビニのミニストップなどをグループに持つ(株)イオンの「ワオン(WAON)」の2大勢力が台頭しています。
どちらもプリペイド(前払い)方式を採用していますが、サービス内容は当然異なる部分があります。
基本的にはよく行くお店がどちらの電子マネーに対応しているのかで選ぶのがセオリーです。
ただ、その他の使い勝手やお得度などの観点で選択したい方もいると思うので、ここでは、それぞれのサービスなどを表などで比較してみます。
選ぶ時に迷ったらこのページを参考にしてみて下さい。
なお、それぞれ個別の詳細情報は以下のページで説明してあります。
⇒nanaco(ナナコ)
⇒WAON(ワオン)
まずはそれぞれの基本的な機能(2017年7月時点)の異同を比較して一覧表にしてみます。
nanaco(ナナコ) | WAON(ワオン) | |
---|---|---|
支払い方式 | プリペイド | プリペイド |
登場年月 | 2007年4月23日 | 2007年4月27日 |
発行枚数 | 5600万枚 | 6600万枚 |
加盟店数 | 260000店 | 374000店 |
発行手数料 | カード型:300円(税込) モバイル型:無料 | カード型:300円(税込) モバイル型:無料 |
チャージ限度額 | 50,000円 | 20,000円(イオンバンクカード・イオンカードセレクトは5万円)だが、手続きで5万円に変更可 |
オートチャージ対応 | なし | あり |
チャージ方法 | クレジットカード/銀行/ 店頭/オートチャージ /おさいふケータイ | クレジットカード/銀行/ 店頭/オートチャージ /おさいふケータイ |
発行種類数 | 3種類 | 6種類 |
年齢条件 | カード型:なし(但、15歳以下は親権者の同意が必要) モバイル型:16歳以上 | カード型:なし モバイル型:16歳以上 |
上記の通り、ワオンの方が発行されているカードの種類も多いですが、基本的にあまり大きな違いはありません。
なので、基本機能を選択基準とすると、「どっちでも同じようなもの」という結論になります。
ナナコとワオンは、それぞれ「nanacoポイント」と「WAONポイント」という独自のポイントサービスがあります。
このポイント制度は結構違いがあるところなので、どのような点が違うのか、比較してみました。よりお得な方を選びたいという方は参考にしてみてください。
nanaco(ナナコ) | WAON(ワオン) | |
---|---|---|
還元率 | 1%(100円につき1ポイント。100円未満切捨て) | 0.5%(200円につき1ポイント。200円未満切捨て) |
交換先 | 4ヶ所(ナナコチャージ、オムニ7での支払い、ANAマイル、ANA SKY コイン) | 1ヶ所(WAONチャージ) |
交換手数料 | 無料(ANAマイルに交換する場合は50%) | 無料 |
ポイント有効期限 | 最長2年間 | 最長2年間 |
まず還元率で比較すると、ナナコは最大1%、ワオンは0.5%となります(ポイントをチャージに使った場合で計算)。
ワオンはナナコの半分ですので、この点では明らかにナナコの勝ちです。
また、ポイント獲得単位がナナコは100円ごと、ワオンは200円ごとになっています。
どちらも切捨て制度を採用しているので、無駄をなくして還元率を最大効率化するためには、それぞれ100円、200円単位を意識して買い物をするとお得になります。
獲得単位以下の端数は切捨てられるということは、この点でも切捨て単位が少ないナナコ有利になります(ワオンの方が無駄が発生しやすい)。
次に交換手数料の違いについて補足しておきます。
ナナコの場合、以前は交換額に対して一律1%の手数料が差し引かれていましたが、その後この交換手数料は無料化されました。
そして、手数料に小数点以下の端数が出た場合は「切り上げ」となるので、100ポイント単位での交換が最大効率になります。
これに対してワオンの場合も、ワオンにチャージする場合は、手数料無料で交換できますので、手数料に関しては、差はなくなりました。
ナナコの場合は以前は貯めたポイントはnanacoチャージにしか交換できませんでしたが、ANAマイルとANA SKY コインにも交換できるようになりました。しかし、ANAマイルへ交換するとポイントが半減してしまうし、ANAコインは使い道が限られているので、あまり実用的とはいえません。
ワオンの場合、毎月5日・15日・25日は「お客さまわくわくデー」で、WAONで支払うと、ポイントが2倍になります。
また、毎月20日・30日には「お客さま感謝デー」があり、WAONでの決済で5%割引になります。
その他、特別割引などその月毎の特典があります。
nanacoの場合も特定日は決まっていませんが、一部商品購入でのポイントアップや、キャンペーンなどを随時やっています。今の所、特定の日にポイントアップのようなやり方はとっていないようです。
以上、使い方次第で単純比較はできませんが、ワオンの方が割引の日が決まっているので、まとめ買いなどに際しては使いやすいと思いますので、この点ではワオンの方が有利ではないかと思います。
以上を踏まえてそれぞれの長所と短所を挙げておきます。
nanaco(ナナコ) | WAON(ワオン) | |
---|---|---|
長所 |
■ポイント還元率が高い ■チャージ限度額が多い |
■他社グループでも使える ■割引サービス日が定期的にある |
短所 |
■自社グループでしか使えない |
■ポイント還元率はあまり良くない |
どちらもほぼ同時期にサービス開始していますが、nanacoの方がスタートダッシュに成功して発行数を伸ばし、ワオンを引き離しました。
しかし2009年に入って、ワオンが巻き返し、4月にはナナコの発行数を逆転してきました。
こういった動きと今後の展望を考えるにあたっては、両者の戦略の違いがポイントになると思います。
両陣営の戦略上の一番の違いは、「他の競合電子マネーを自社グループ内で使えるか否か」という点です。
この点、セブンイレブングループは、自社グループで使える電子マネーはナナコのみであるのに対して、イオングループは、他の電子マネー(Suica、PASMO、iDなど)も自社グループで使えるようにしています。
このように、自社独自路線で行くのか、競合他社と連携で行くのか、対象的な戦略になっているのが大きな違いです。
そして、発行枚数で先に差をつけたナナコをワオンが逆転したことは、こうした戦略上の違いが出てきてる動きといえそうです。
ただ、月間利用件数はナナコの方がまだ多いようです。
この理由は、単純にナナコの方がポイント還元率が高いからという理由だけではないと思われます。
つまり、コンビニをよく使う若い世代の方が電子マネーなどの新しい技術を使いこなすのが早いので、店舗数最多のセブンイレブンで使えるナナコの利用率が高いということを示していると考えられます。
一方、ワオンは他社グループと提携しているということで、使える場所が増えるというメリットがある反面、弊害もあります。それは、ユーザーを自社の電子マネーに一極集中化させることが難しくなってしまうことです。
例えば、イオン系のお店ではSuicaとiDが使えたり、ミニストップは全店でEdyが使えるので、それらの電子マネーを既に持っている場合にWAONの必要性が弱くなってしまっているというデメリットにつながります。
また、それらの店ではクレジットカードでも払えるので、クレジットカードとの競合という問題もあります。
こう見てくると、利用場所を自社グループに限定してユーザーを囲い込むか、利用場所を多彩にする引き換えとして利用率を犠牲にするのか、どちらの戦略が正解かは一概には言えません。
前者の戦略では自社グループの利益が上がることで、ポイントなどでユーザーへの還元が期待できる反面、利用場所がグループ系列に限定されてしまうので、便利さが犠牲になります。
これに対して後者の方は利用場所が増えて我々ユーザー側にとっては便利と言えますが、その反面、利用件数が伸びなければ企業が儲からないので、ポイントなどの還元率が下がってしまう可能性が高くなります。
結局、どちらの戦略も一長一短があるので、どちらがいいかは難しいところといえます。 今後は利用場所増加とサービス内容の向上よりも、単純に社会的認知度を先に向上させた方が勢力を伸ばしていく可能性も高そうです。
追記:ワオンに発行枚数で追い抜かれたことで焦ったのか、セブンイレブンが戦略を少し変更してきました。
2009年10月からセブンイレブン全店でエディも使えると発表してきました。また、2010年7月からはドコモのiD(アイディ)も使えるようにしてきました。
これが追い風になるのか、今後の発行枚数の推移がますます見ものです。
参考⇒セブンイレブンジャパンEdy導入のプレスリリース(PDF)
参考⇒セブンイレブンジャパンiD導入のプレスリリース(PDF)
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