電子マネーの狙いは何?

存在目的についての考察

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電子マネーの狙いは何か?

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ターゲットは?

電子マネーの便利さは使ってみればよく分かると思います。
では、そもそも電子マネーはどうして登場したのでしょうか。もちろん便利さを追求したものですが、それ以外の狙い(ターゲット)は何でしょうか。ここではその考察をしたいと思います。

小額決済市場の囲い込み

それまでのカード決済は、主にクレジットカードがメインでしたが、クレジットカードの場合は比較的大きい金額の支払いに使われる傾向があり、どうしても数百円の支払いの時に提示するのは心理的にも抵抗があるという実態がありました。
数百円なら現金で払うのが圧倒的多数でしたが、ここに目をつけたのが企業です。
大きい金額はクレジットカードの守備範囲ですが、「小さい金額の守備範囲をカバーするものがこれまではほとんどない」ことがビジネスチャンスと捉えられました。そのすき間市場を埋めるものが電子マネーです。

一説によると、小額決済市場は60兆円市場とも言われています。国内個人消費額は年間約300兆円ですから、その5分の1にあたるこの巨大な市場を何とか取り込むことを考えるのは営利企業なら当然といえます。
しかも、小銭を使うのは老若男女問わずですから、ターゲット層が広いので、数多くの業界に応用できるという魅力もあります。

そして、市場開拓と同時に、消費者の囲い込みにも狙いがあります。自社の提供する電子マネーばかり使ってくれれば利益も上がるという仕組みです。
例えば、学生証や社員証になどにEdyを搭載している大学なり企業があります。これは、そのコミュニティを丸ごと囲い込むことが目的になっていると思われます。自分の周りがみんな使っていれば、自分もその電子マネーを使うのが当たり前のようになるのが普通の流れでしょうから。

業種別によっても違いが

大きな狙いは上記の通りですが、業界によってもプラスアルファの狙いもあると思います。
すなわち、SuicaやICOCAなどの交通系の場合、簡単に改札を通れることにより、渋滞の緩和による効率化が図れます。煙管(キセル)乗車も防ぎやすくなるでしょう。
その上、切符を買う人が少なくなる結果、自動販売機設置場所を縮小することができるので、空いたスペースの有効利用ができるメリットもあります。「駅ナカ」や駅内のカフェスペースが増えてきたのはその効果でもあると考えられます。この辺から鉄道事業以外の収益の多角化という点にも狙いが見えます。

また、ナナコやワオンなど流通系の場合は、ポイント付与やキャンペーン、利用履歴からわかる消費動向のチェックなどにより顧客の囲い込みがしやすくなるという狙いが垣間見えます。

統計的裏づけについて

実際に、2008年8月の日銀の発表によると、「電子マネー元年」と言われる2007年度の利用状況では、主要な6つの電子マネーの1件あたりの利用金額を計算すると、696円程度となっており、現金やクレジットカードと比べて、小口決済手段としての地位を固めつつあることがわかります。

ただ、下記リンク先PDF資料内の統計によると、1件あたりの利用金額は、電子マネーが登場した初期に比べると、2008年度は若干ですが上昇傾向(10〜50円程度)にあり、大きめの買い物にも使われ出していることが伺われます。
こうなってくると、この先クレジットカードとの垣根がなくなってくることも予想されます。
参考:最近の電子マネーの動向について(日本銀行プレスリリース 2008/8)

その後の動向は?(2008年度版)

2009年7月に日銀が発表したプレスリリースによると、2008年度も発行枚数は順調に増えています。枚数が増えれば決済件数・決済金額が増えるのは当然といえますが、1件あたりの利用金額も増加していることはなおも注目です。

利用金額平均は昨年度の696円をさらに上回り、732円程度に増加しており、予想通り大き目の買い物にも使われてきている傾向が見て取れます。これによって、クレジットカードとの差異がさらに縮まってきている傾向は継続していることがわかります。
電子マネーは小口決済をターゲットにしていますが、こうなると将来的には大口決済にも対応し、ますますクレジットカードとの違いがなくなってくる可能性もありそうです。
参考:最近の電子マネーの動向について(日本銀行プレスリリース 2009/7)

さらにその後の動向について(2012年度版)

2012年11月に日銀が発表したプレスリリースでは、発行枚数の伸びはやや鈍っているものの、前年比+15%と順調な伸びを示しています。

特に、携帯電話での電子マネー利用が増えている傾向が強くなってきていることが見てとれます。電子マネー搭載の携帯端末が増えてきていることがストレートに影響しているようです。
また、3大都市圏では1000円以下の小額決済の割合が他地域よりも多く、コンビニ等の小型店舗での利用傾向が強いと推測できます。

利用金額平均も879円程度に増加(2011年度分)しており、小額決済だけでなく、決済対象も幅広くなってきている傾向も継続しています。
ますますクレジットカードとの差別化が少なくなってきている証拠ともいえます。
参考:最近の電子マネーの動向について(日本銀行プレスリリース 2012/11)

最近の動向について(2016年度版)

2017年2月に日銀が発表した決済動向の電子マネーの項目を見ると、発行枚数、決済件数・金額は着実に伸びてはいるものの、成長は前年比約+11%とやや鈍ってきています。

多くの人に何れかの電子マネーが行き渡って、一般的な決済になってきていることが見て取れます。
そうなると今後の動向としては、相互利用や海外対応などがキーポイントになると思われます。
また、2016年10月からiphone(アイフォン)7で、ApplePay経由でのSuicaやQUICPayが使えるようになったことで、今後発売されていくiphoneの最新機種でも使えるでしょうから、さらに携帯端末での決済件数は増えていくと予想されます。

日銀の調査では、調査対象が主要8社の電子マネーのみですが、最近は地場スーパーなどでも独自の電子マネーを導入したりといった動きも増えてきているので、電子マネーは実際にはより多くの人に身近な決済方法になってきていると思われます。

利用金額の平均は1000円程度で頭打ちになってきており、1000円という金額が電子マネーを使うかどうかの分岐点と意識されているようです。
参考:2017年1月決済動向(日本銀行プレスリリース 2017/2/28)

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